日本初?小型EVトラック「ELEMO」を公道で試乗!!その実力のほどは...?
記事作成:2021/6/9
皆さんおはようございます、八重さくらです!
今回はまもなく発売予定の小型EVトラック「ELEMO」に試乗、その実力をお伝えします!
筆者の事務所のある千葉県にショールームを構え、EVの販売を行うスタートアップの「HW ELECTRO」社。そんな同社が2021年7月に発売を予定している最初の製品が、小型EVトラックの「ELEMO」である。
従来、自動車の製造は多大な技術力とノウハウが必要であり、新規参入は至難の業とされてきた。ところがEVが登場したことでテスラを始めとして多くの新興メーカーが誕生、ELEMOのベースモデルを開発した米「CENNTRO」社もその一つだ。
今後も増え続けるであろう新興メーカーが将来どこまで既存メーカーに取って代わるのか、今回の取材・試乗を通じてその実力を解き明かしてみよう。
1. 商用車は電動化に向いている?
欧米中などで急速にEV化が進むなか、EV化がほとんど進んでいない国内でも2030年代なかばを目処に(HVを除く)ガソリン車の販売禁止が発表された。
一方で商用車については2021年4月に佐川急便が配送用の軽バンとして中国製のEVを採用することを発表し、各種メディアで大々的に報道され話題となった。中国製と言ってもiPhoneのように設計や販売は国内企業が担当し、製造のみ中国企業に委託するといういわゆる「ファブレス方式」であり、実際は以下の記事にもあるように日本メーカー発の車だ。
参考:佐川の新EVは「中国車」じゃない? 日本発のファブレス方式でEV市場の覇権を狙う
そんな中、同じく日本発のEVベンチャー企業である「HW ELECTRO」社が2021年7月に発売予定の商用EVトラック「ELEMO」のプロトタイプが初めてナンバーを取得し、発売に一歩近づいたとのニュースを聞いて千葉のショールームにお邪魔した。
参考:電気自動車ベンチャー発の小型商用EV『ELEMO』が日本で初めてナンバー取得に成功【密着取材】
ショールームには荷台を取り外したELEMOが展示してあり、荷台を外すと以下の写真のようにシャーシにバッテリー、インバーター、モーターなどがシンプルかつ効率よく取り付けられていることがわかる。
このような方式を採用することで海外生産によるコストの削減だけでなく、国内の工場による柔軟なサポートや高いカスタマイズ性の両立が期待できる。総じて装備が複雑化する乗用車よりも、商用車の方が電動化に向いていると言えるだろう。
2. ELEMOのスペックは?
今回発売されるELEMOは小型トラック仕様で、全長3,910mm x 全幅1,400mm x 全高1,905mmというコンパクトなサイズで最大積載量は500kgと、ラストワンマイル配送などの用途において使いやすく実用十分なスペック。また荷台の外寸は全長2,270mm x 全高1,200mmで、後部と右側から積み下ろしが可能となっている。
駆動用の蓄電池として合計25.92kWhのリチウムイオン電池を搭載し、最高時速は85km/hで高速道路も走行でき、空車時で最大200kmの航続距離を実現。自然冷却式で急速充電には対応しないが、3kWの普通充電でも一晩あれば満充電可能であり、コストの削減につながっているという。
気になるお値段は7月に発売するELEMO200(航続距離200km)が約250万円(税別)~、その後発売予定のELEMO120(航続距離120km)が約199万円(税別)~。維持費の節約を考えると、ELEMO200でも同クラスのガソリン車(200万円前後)と同等以上のコストパフォーマンスと言えるだろう。
参考:ELEMOカタログ
なお、保証期間は標準で3年/5万km、さらに有償で5年の延長保証も付けられる。EVはガソリン車と比べて可動部品が少なく故障が少ないとされているが、心配なら延長保証を使うのも良いだろう。
さらに電気自動車らしく、車体の側面(充電口の横)に100Vコンセントも装備されており、イベントや災害支援などでの電力の確保も可能だ。
3. いざ、試乗!!
実は見学のみで試乗する予定はなかったのだが、対応してくださった高橋さんの計らいにより公道で試乗できることに。1,400mmというコンパクトな車幅のおかげで、至って標準的な人が出入りするためのガラス扉でショールームから車両を取り出すことができる。
運転席はとてもシンプルで、必要な装備がコンパクトにまとめられている。ミラーやウィンドウはすべて手動で無駄な装備を徹底的に削っており、コストの削減や軽量化だけでなく運転操作に集中できそうだ。
シフトはレバーではなくダイヤル式で、D/E/N/Rの4段階。パーキングはなく、駐車時はNに入れればOKだ。
メーターは運転席と助手席の中央の液晶画面に表示され、バッテリーの残量に加えて電圧、電流、モーターの回転数、さらにバッテリーセルのバランス(最高・最低電圧)も表示されているのが面白い。試乗時の電圧差は概ね10mV未満で、しっかりバランスが取れていることがわかる。
走り出すと、すぐに視界の広さと見切りに良さに気づく。フロントガラスが広く死角が少ないため、コンパクトな車体とも相まって、交差点や住宅街のような細い道でもスイスイ走ることができる。
ATのエンジン車のようなクリープはなく、アクセルを踏むと走り出す。加速感覚は小型EVの三菱アイ・ミーブに近く、尖った加速はしないものの必要十分なパワーをもつ。ブレーキは若干ペダルが重いのが気になったが、もちろん踏み込めばしっかり止まる。
EVなので当然ながらエンジンからの騒音や振動はゼロ、低速で市街地を走る分にはロードノイズも気にならない。後退時はバックカメラが大きく表示され、死角の少なさや小回りが効くコンパクトさと相まって、狭い場所でも楽に後退できる。
小さいながらもEVらしさを持ったELEMO。他の多くのEVと同じように、総じて一般的なガソリン車よりも疲れにくく、ドライバーにやさしい車と言えるだろう。
4. 今後の展開は?
最後に「ELEMO」と「HW ELECTRO」社の今後の展開について、担当の高橋さんに伺ってみた。
まず、「ELEMO」については2つのグレードを用意。航続距離の長い「ELEMO200」を2021年7月を目処に正式な注文を開始、納車は注文してから最速で2~3ヶ月程度を予定。その後、準備が整い次第「ELEMO120」も発売するという。
また、まだ明確な時期は決まっていないものの、軽自動車が人気な国内市場向けにシャーシと荷室を50cmほど短縮した軽貨物版の発売も計画中で、こちらは追って発表を待ちたい。なお、残念ながら「ELEMO」は後輪駆動のみで、四駆モデルの発売予定はないそうだ。
そして「HW ELECTRO」社としては、2年後を目処に完全国内設計のオリジナル車種を投入。こちらは国内でも有名なカーデザイナーがデザインを担当する予定で、設計段階から軽自動車を前提とした軽自動車規格をフル活用した設計になるという。150万円で150kmを走れることが目標で、高いコストパフォーマンスにも期待できそうだ。
【ELEMO・HW ELECTROについての問い合わせ】
ELEMO・HW ELECTRO社への商談やお問い合わせは公式サイトより。
商談のみであればお台場、実車を確認する場合は千葉のショールームにて。