【ファクトチェック】No.002「テスラの既存車両がV2Gをサポートしていた」のは誤報
皆さんおはようございます、八重さくらです!
先日よりお送りしているファクトチェックですが、早くも第2回目をお送りします!
2020/5/20頃「現在販売されているテスラモデル3は既にV2Gに対応している」との情報がネット上を騒がせた。
V2G/V2HとはEVのバッテリーに蓄えられている直流の電力を再度交流に変換し、電力網に戻したり家庭内のコンセントで使えるようにする仕組みのことだ。
従来から日産のリーフを始め幾つかのプラグイン車(コンセントから充電可能な車)がこの機能に対応していたが、いずれも車とは別に高価な機器を購入する必要があり、気軽には使えなかった。
ことの発端
ことの発端はがテスラの分解・分析を行っているエンジニアであるMarco Gaxiola氏がLinkdInに投稿したポスト(現在は修正ずみ)で、同ポストによると
テスラモデル3にはすでにV2Gに必要な機器が搭載されていて、ソフトウェアのアップデートで有効にすることで電力網に接続、電力を売買できるようになる
とされていて、こちらの記事をはじめ多くのメディアから上記のポストを引用する形で報道があった。
誤りの指摘
ところがその後5/20、同じくテスラを分解・分析しているエンジニアでYoutubeに動画を投稿しているチャンネル「Ingineerix」から誤りを指摘する動画が公開された。
上記の動画によると「双方向には設計されていない可能性が高い」とされたが、更にその後5/22に別の動画が投稿され、「現在の設計ではバッテリーに蓄えられた電力から交流に変換して電力網に戻す事は不可能である」と結論付けられた。
また動画内では「もしV2Gに対応したければ車載充電器に幾つかの修正を加える必要がある」とされている。
そして最初にLinkdInに投稿したMarco Gaxiola氏も上記の動画に対してコメントで
こんにちはIngineerix... このビデオでのあなたの分析には本当に感謝しています。そうですね、残念ながら双方向性ではありません。私の大きなミスです。
と返信しており、今回の一連の報道は誤りだという結論に至った。
決め手は次世代バッテリー
もし仮に「ソフトウェアのアップデートによりV2Gが使用可能」になるとしても、問題点がある。
EVのバッテリーをV2GやV2Hで使用した場合、充放電を繰り返すことでバッテリーの寿命が縮むことになり、これはV2Hに対応している日産のリーフも抱えている問題だ。
確かに現在のリチウムイオンバッテリーでもEVとして使用するには十分な耐久性を持っているが、V2GやV2Gで使用してバッテリーの劣化が進んだ場合はEVとしての使用に影響が出る可能性がある。
万が一航続距離が減って日常的な使用に影響が出てしまうと、本末転倒になってしまう。
決め手となるのはリチウムイオンバッテリーの長寿命化で、これについては今年開催が予定されているテスラのバッテリーデーで発表される予定であり、仮にV2Gの機能が着くとしたらそれと同時に発表されるだろう。
今回は多くの人が喜んだニュースだけあって、残念な結果となりましたね・・・
次回も疑わしい記事を見つけたらチェックしていきますので、お楽しみに!