【日本国内のEV販売】2024年7月のEVシェアは2.6%、日産が4か月ぶりに首位に返り咲く

記事公開:2024/8/18

八重さくら

皆さんおはようございます、八重さくらです!
本日は、4か月ぶりに日産が首位に返り咲いた7月の国内のEV販売状況を解説します!

※この記事は2024年7月の情報です。最新情報はこちらから:EV販売台数の記事一覧(翌月中旬頃更新)

2024年7月の日本国内の軽自動車を含む乗用車全体の販売台数は338,704台で、2023年7月の320,997台からは5.5%の増加で、2024年の年初から6月まで続いた前年比での減少に終止符を打った。一方で、COVIDによる影響を受ける前の2019年7月(379,422台)と比べると、15.4%の減少となった。

このうちEV(BEV+PHEV)のシェアは2.6%で、PHEVは前年の1.5%から1.1%に、BEVは2.0%から1.5%にそれぞれ減少している。メーカー別の台数では、日産サクラ/三菱eKクロスEVの改良に伴う受注停止の影響を受けた日産と三菱が回復、それぞれ4か月ぶりに3,000台/1,500台を突破した。

さらに燃料別シェアの最多となるHVは51.9%で、2024年の年初から安定して過半数を維持。これにより、HVを含む電動車全体のシェアは54.5%となった。

日本国内の燃料別販売台数(2024年7月).png
日本国内の燃料別販売台数(2024年7月)(クリックで拡大)

・BEV:5,072台(乗用車全体の 1.50%、前年比 -19.77%)
・PHEV:3,683台(乗用車全体の 1.09%、前年比  -24.94%)
・EV(プラグイン車合計):8,755台(乗用車全体の 2.58%、前年比 -22.03%)

・FCV:47台(乗用車全体の 0.01%、前年比 +42.42%)
・ZEV合計:8,802台(乗用車全体の 2.60%、前年比 -21.84%)

・HV:175,910台(乗用車全体の 51.94%、前年比 +12.42%)
・電動車合計:184,712台(乗用車全体の 54.53%、前年比 +10.12%)

【本ページに掲載している販売数データのソースについて】
・登録車:一般社団法人日本自動車販売協会連合会(JADA)の燃料別販売台数(乗用車)より
・軽自動車:一般社団法人 全国軽自動車協会連合会の軽四輪車通称名別新車販売確報、及びメディア向け資料より
※シェアは上記の販売台数より独自集計
※特筆なき場合、EVはBEV(バッテリー式の完全電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)を両方を指す

販売台数とシェアの推移

2024年7月のEV販売台数は8,755台で、前月に続き、前年だけでなく2年前の同月である2022年7月を割った。前年同月の11,229台と比べると-22.0%の大幅な減少となったものの、減少幅は前月の-41.53%から縮小した。

日本国内のEV(BEV+PHEV)販売数.png
日本国内のEV(BEV+PHEV)販売数(クリックで拡大)

同期間のシェアは2.58%で、販売数と同様に前年から大幅に減少。前年に続き、2年連続の減少となった。

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日本国内のEV(BEV+PHEV)シェア(クリックで拡大)

月推移では2024年Q2以降では成長しているものの、最多を記録した2022年~2023年と比べて減少トレンドが続いており、この傾向は2024年いっぱい続く可能性が高い。

日本国内のEV(BEV+PHEV)販売数 と シェア(月推移).png
日本国内のEV(BEV+PHEV)販売数とシェアの推移(クリックで拡大)

メーカーと車種

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メーカー別EV(BEV+PHEV)販売台数(2024年7月)(クリックで拡大)

メーカー別のトップは3,024台を販売した日産で、前年の4,188台からは-27.8%の大幅な減少となったものの、2024年3月以来、4か月ぶりに首位に返り咲いた。車種別では軽自動車の「日産サクラ」が前年の3,174台から2,169台に、登録車の「日産リーフ」と「日産アリア」の合計は1,014台から855台に減少。前月に続き、いずれもJADAの通称名別順位においてTOP50(50位は594台)にはランクインしなかった。

輸入車の内訳は不明ながら、国内メーカーの2位は1,812台を販売したトヨタで、前年の3,209台からは43.5%の減少となった。2024年4月までの15が月連続成長から一転、3か月連続で減少。プリウス、ハリアー、RAV4などのPHEVが前年の2,906台から1,646 台に、bZ4XやレクサスRZ450e、UX300eなどの登録車BEVが280台から152台にそれぞれ減少。また、このうち14台が2024年夏の生産終了が発表されたC+podで、具体的な発表はないものの公式サイトでは既に生産終了済みとされている。

国内メーカーの3位は1,562台を販売した三菱で、前年の1,883台からは17.1%の減少となったものの、減少の割合は2024年として最も小さかった。このうち軽自動車の「三菱eKクロスEV」が前年の446台から179台に、登録車である「アウトランダーPHEV」と「エクリプスクロス」のPHEVモデルの合計は1,437台から1,383台に減少した。なお、JADAの通称名別順位より登録車のうち897台が「アウトランダーPHEV」と公開されていて、残りの486台が「エクリプスクロス」のPHEVモデルと思われる。

また、輸入車の2,307台のうち、JAIA(日本自動車輸入組合)の「2024年7月度輸入車新規登録台数(速報)」によると普通普通乗用車のOthersは317台(前年の128台から増加)で、ほぼ全数がテスラと思われる。また、電動車専業メーカーのHyundaiは前年の15台から43台に、BYDは78台から207台にそれぞれ増加した。

おわりに

6月の解説記事でも触れたとおり、EV関連情報にはデマがつきものである。これが知識のない一般人からの発信なら(本当はダメだが)まだ許せるとしても、影響力のあるモータージャーナリストを名乗るのなら、話は別だ。

まず、EVと寒冷地や豪雪地帯との関係は以前の記事でも解説したように、一概にEVが不向きで内燃車が有利と言えるものではない。確かに車種や装備(ヒートポンプエアコン、プレコンディショニングの有無など)によっては、内燃車よりも効率が落ちることもある。一方で、近年発売された車種においては、必ずしもEVが不利とは限らない。

さらに、一番の問題点は「命にかかわる」というデマを流布してしまった点だ。毎年のように一酸化炭素中毒への注意を呼び掛けるニュースが報道されているにもかかわらず、死亡事故が絶えない。

【参考】新潟県の男性、車内で死亡 大雪でマフラー詰まり一酸化炭素中毒か

一方で、EVに起因する雪が原因の死亡事故は、今まで1件も聞いたことがない。筆者は冬の北海道への遠出を含めてEVを5年間使用しているが、EVであることを理由に危険を感じたことは一度もない。参考までに、以下の記事にて冬の北海道での立ち往生の検証結果を掲載している。

【参考】テスラ『モデルX』がー5℃で立ち往生に巻き込まれたら?【EVで旅する冬の北海道 Part3】

そして、何より参考になるのは豪雪地帯に住むのEVオーナーの声だ。

もちろんEVにしても内燃車にしても、多少なりのデメリットは存在する。全てのメリット・デメリットを考慮した上で、あえて内燃車を選んだり、理由を明示したうえで勧めることは問題ない。一方で、根拠なく「命にかかわる」というデマを広めることは、殺人罪と並ぶ重罪ではないだろうか。

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