【日本国内のEV販売】2024年9月のEVシェアは2.6%、引き続きPHEVを中心に減少

記事公開:2024/10/15

八重さくら

皆さんおはようございます、八重さくらです!
本日は、21年以来の低水準が続く9月の国内のEV販売状況を解説します!

※この記事は2024年9月の情報です。最新情報はこちらから:EV販売台数の記事一覧(翌月中旬頃更新)

2024年9月の日本国内の軽自動車を含む乗用車全体の販売台数は366,212台で、前年同月の2023年9月(363,399台)比では+0.8%とほぼ同等に。一方で、COVIDによる影響を受ける前の2019年9月(458,856台)と比べると-20.2%で、大幅な減少となった。

このうちEV(BEV+PHEV)のシェアは2.6%で、7月から9月にかけて安定したシェアを維持。PHEVは前年の1.6%から0.9%に、BEVは2.5%から1.8%にそれぞれ減少した。メーカー別の台数では前月に続き輸入車の合計が最多となり、国内メーカーとしては日産が首位を維持した。

さらに燃料別シェアの最多となるHVは52.3%で、2024年の年初から安定して過半数を維持。HVを含む電動車全体のシェアは54.9%となった。

日本国内の燃料別販売台数(2024年9月).png
日本国内の燃料別販売台数(2024年9月)(クリックで拡大)

・BEV:6,429台(乗用車全体の 1.76%、前年比  -28.70%)
・PHEV:3,166台(乗用車全体の 0.86%、前年比 -44.16%)
・EV(プラグイン車合計):9,595台(乗用車全体の 2.62%、前年比 -34.67%)

・FCV:57台(乗用車全体の 0.02%、前年比 +235.29%)
・ZEV合計:9,652台(乗用車全体の 2.64%、前年比 -34.36%)

・HV:191,348台(乗用車全体の 52.25%、前年比 +11.93%)
・電動車合計:201,000台(乗用車全体の 54.89%、前年比 +8.26%)

【本ページに掲載している販売数データのソースについて】
・登録車:一般社団法人日本自動車販売協会連合会(JADA)の燃料別販売台数(乗用車)より
・軽自動車:一般社団法人 全国軽自動車協会連合会の軽四輪車通称名別新車販売確報、及びメディア向け資料より
※シェアは上記の販売台数より独自集計
※特筆なき場合、EVはBEV(バッテリー式の完全電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)を両方を指す

販売台数とシェアの推移

2024年9月のEV販売台数は9,595台で、引き続き前年だけでなく2年前の同月である2022年9月を割った。前年同月の14,687台と比べると-34.67%の大幅な減少で、減少幅は7月の-22.03%や8月の-27.59%からさらに拡大した。

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日本国内のEV(BEV+PHEV)販売数(クリックで拡大)

同期間のシェアは2.62%で、販売数と同様、前年の4.04%や2年前の 4.10%から大幅に減少した。

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日本国内のEV(BEV+PHEV)シェア(クリックで拡大)

月推移では2024年Q2以降では成長傾向が続いているものの、最多を記録した2022年~2023年と比べて減少トレンドが続いており、この傾向は2024年いっぱい続く可能性が高い。

日本国内のEV(BEV+PHEV)販売数 と シェア(月推移).png
日本国内のEV(BEV+PHEV)販売数とシェアの推移(クリックで拡大)

メーカーと車種

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メーカー別EV(BEV+PHEV)販売台数(2024年9月)(クリックで拡大)

輸入車の内訳は不明ながら、メーカー別のトップは3,326台を販売した日産と推測される。前年の5,128台からは35.1%の減少で、2023年以降11か月連続の減少となったものの、引き続き首位となった。車種別では軽自動車の「日産サクラ」が前年の3,801台から2,485台に、登録車の「日産リーフ」と「日産アリア」の合計は1,327台から841台に減少。前月に続き、いずれもJADAの通称名別順位においてTOP50(50位は598台)にはランクインしなかった。

国内メーカーの2位は1,594台を販売したトヨタで、前年の3,160台からは49.56%減少となり、5か月連続の減少となった。プリウス、ハリアー、RAV4などのPHEVが前年の2,849台から1,468台に、bZ4XやレクサスRZ450e、UX300eなどの登録車BEVが288台から118台にそれぞれ減少。また、このほか公式サイト上で既に生産終了済みとされているC+podが8台販売された。

国内メーカーの3位は957台を販売した三菱で、前年の2,440台からは60.78%の減少で、2023年12月以降10か月連続の減少となった。このうち軽自動車の「三菱eKクロスEV」が前年の375台から225台に、登録車である「アウトランダーPHEV」と「エクリプスクロス」のPHEVモデルの合計は2,440台から957台に減少した。なお、JADAの通称名別順位より登録車のうち785台が「エクリプスクロス」と公開されているが、PHEV単体の台数やアウトランダーPHEVの台数(51位以下)は公開されていない。

また、輸入車の3,595台のうち、JAIA(日本自動車輸入組合)の「2024年9月度輸入車新規登録台数(速報)」によると普通普通乗用車のOthersは528台(前年の603台から減少)で、ほぼ全数がテスラと思われる。また、電動車専業メーカーのHyundaiは前年の36台から58台に、BYDは186台から257台にそれぞれ増加した。

おわりに

今月最大の話題は、何といってもロボタクシーの発表だ。これまでは電動化が自動車産業最大の変化であり、エコレボでも大きく取り上げてきた。今回の発表は、電動化から自動化の時代に突入したことを予算させるものだった。

自動運転タクシーは既に米Google傘下のWeymoや中国百度傘下のApolloなどが商業展開しているが、いずれも既存車種を改造した車両を使っている。一方で、今回発表されたロボタクシーはハンドルやペダルのない、純粋な自動運転専用車両となる。

テスラはこの車両を2026年頃より大量生産し、3万ドル(約450万円)以下で市販することを目指している。マスク氏は今回の発表にて、ロボタクシーがバスの半分以下の運賃になることを示唆した。

ところで、この価格を実現するには、当然ながら安価に量産しなければならない。言い換えれば、可能な限り余計な部品を廃し、同時に世界各地で使える汎用性を備える必要がある。Waymoのように高コストなLiDARセンサーや、利用可能な地域が限定されるHDマップは使えない。

そこでテスラはこの2つの課題を解決すべく「ビジョンベース」のアプローチを採用。これは人の「目」に相当するカメラと「脳」に相当するコンピュータ(NPU)を使い、認識から操作まで(End to End)全てAIベースで処理するものだ。人と同じように実際の世界を認識して車両を操作するため、LiDARセンサーやHDマップは不要となる。

それでは、なぜWaymoなどはこの方式を採用しないのか。このような汎用AIをトレーニングするには膨大な実世界のデータが必要で、量産車メーカーでなければ膨大なデータを収集することは難しく、実現できても相応の時間がかかる。

一方で、テスラは既に世界中で数百万台の車両が走行していて、全ての車両がインターネットに接続されている。これらの車両から実世界の膨大なデータを集めることが可能となり、汎用AIへの道が開かれる。

さて、ここで一つ、国内の自動車産業に対して問題を提起したい。筆者はこれまでも再三にわたり「電動化の遅れが自動車産業の衰退を招く」ことを指摘してきたが、いまや電動化に加え、自動化の遅れも気にしなければならなくなった。

上記の投稿で指摘した通り、市街地運転支援に対応した市販車を販売しなければ、実世界から膨大なデータを収集することは難しい。それも電気自動車であることが望ましい。テスラではデータの収集に際し、自宅などでの駐車中にWi-Fi経由で大容量の動画データを転送しているが、駆動用の大型電池を持たない(12Vの鉛蓄電池のみの)内燃機関車では、直ぐに電池が上がってしまうからだ。

このように電動化と自動化は密接に関係しているが、現状国内メーカーは米中の新興メーカーに対し、どちらも大きく遅れているように見える。これからも国内の自動車産業が基幹産業であり続けるために、メーカーには電動化の推進、国交省には余計な規制の撤廃を強く求めたい。

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